特定技能

特定技能

新しい在留資格 特定技能

2019年4月1日からスタートした新たな外国人材の受入れ制度について、ご説明します。

 

この制度は、深刻な人手不足の状況に対応するため、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人を受け入れる制度です。

 

そして従来の在留資格に加えて、新たな在留資格である「特定技能」が創設されました。特定技能の在留資格は、1号と2号に分かれています。

 

特定技能1号は、特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。

 

一方、特定技能2号は、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。1号と比べて、より高い技能を要する在留資格となります。

 

特定産業分野」は次の14分野が指定されています。介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設、造船・船用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業です。但し、特定技能2号は、建設、造船・船用工業の2分野のみ受入れ可能となっています。

 

上記の14分野に当てはまらない産業分野は対象外ですので、いくら人手が足りないといっても、特定技能の在留資格を持った外国人を雇用することはできません。

 

次に、特定技能1号のポイントについては次のようなものです。

 

  • 在留期間:1年、6か月又は4か月ごとの更新、通算で上限5年まで
  • 技能水準:試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)
  • 日本語能力水準:生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)
  • 家族の帯同:基本的に認めない
  • 受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象

 

また、特定技能2号のポイントは次の通りです。

 

  • 在留期間:3年、1年又は6か月ごとの更新
  • 技能水準:試験等で確認
  • 日本語能力水準:試験等での確認は不要
  • 家族の帯同:要件を満たせば可能(配偶者・子)
  • 受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象外

 

ここで、就労が認められる在留資格をまとめてみますと、現行の在留資格として、「高度専門職(1号・2号)」、「教授」、「技術・人文知識・国際業務」、「介護」、「技能」等が専門的・技術的分野としてあります。また、「技能実習」が非専門的・非技術的分野の在留資格として存在します。そして新たに創設された在留資格として、「特定技能1号」と「特定技能2号」が専門的・技術的分野の中に加わりました。但し、「特定技能1号」より更に高度な専門的・技術的分野として「特定技能2号」があるという位置づけです。


受入れ機関

新たな在留資格である特定技能1号における、受入れ機関についてご説明します。

 

受入れ機関が外国人を受け入れるための基準は次の通りです。

 

  1. 外国人と結ぶ雇用契約が適切(例:報酬額が日本人と同等以上
  2. 機関自体が適切(例:5年以内に出入国・労働法令違反がない)
  3. 外国人を支援する体制あり(例:外国人が理解できる言語で支援できる)
  4. 外国人を支援する計画が適切(例:生活オリエンテーション等を含む)

 

特に1.の報酬額が日本人と同等以上という点は重要です。専門的・技術的分野の在留資格である「特定技能1号」は、非専門的・非技術的分野の在留資格である「技能実習」とは違います。外国人を安い給料で働かせるという考え方は通用しません。

 

次に、受入れ機関の義務は次の通りです。

 

  1. 外国人と結んだ雇用契約を確実に履行(例:報酬を適切に支払う)
  2. 外国人への支援を適切に実施→支援については、登録機関に委託も可。全部委託すれば、外国人を支援する体制ありと認められる。
  3. 出入国在留管理庁への各種届出

 

(注)1〜3を怠ると外国人を受け入れられなくなるほか、出入国在留管理庁から指導、改善命令等を受けることがある。

 

特に3.の届出については、様々な場面において適時に行う必要が出てきます。

特定技能1号

外国人が特定技能1号の在留資格を取って、就労するまでの流れについてご説明します。

 

まず、海外から来日する外国人で、かつ新規入国予定の外国人の場合です。

 

  1. 国外試験(技能・日本語)に合格  技能試験は特定産業分野の業務区分に対応する試験です。日本語試験は国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験(N4以上)などです。
  2. 求人募集に直接申し込む / 民間の職業紹介事業者による求職のあっせん
  3. 受入れ機関と雇用契約の締結(受入れ機関等が実施する事前ガイダンス、健康診断の受診)
  4. 在留資格認定証明書交付申請(受入れ機関の職員等による代理申請です)外国人本人の要件は次の通りです。・18歳以上であること、・技能試験及び日本語試験に合格していること(技能実習2号を良好に修了した外国人は免除)、・特定技能1号で通算5年以上在留していないこと、・保証金を徴収されていないこと又は違約金を定める契約を締結していないこと、・自らが負担する費用がある場合、内容を十分に理解していること、など
  5. 地方出入国在留管理局が在留資格認定証明書を交付(受入れ機関に在留資格認定証明書を送付)
  6. 外国人が査証申請(受入れ機関等から送付された在留資格認定証明書を、日本の在外公館へ提出)
  7. 日本の在外公館が審査後、外国人に査証を発給
  8. 外国人が入国(在留カードの交付、但し後日交付の場合あり)
  9. 入国後、遅滞なく実施すること→受入れ機関等が実施する生活オリエンテーションの受講、住居地の市区町村等で住民登録、給与口座の開設、住宅の確保等
  10. 受入れ機関での就労開始

 

次に、日本国内に在留している外国人(中長期在留者)のうち、留学生などの場合です。

 

  1. 試験(技能・日本語)に合格
  2. 求人募集に直接申し込む / ハローワーク・民間の職業紹介事業者による求職のあっせん
  3. 受入れ機関と雇用契約の締結(受入れ機関等が実施する事前ガイダンス、健康診断の受診)
  4. 在留資格変更許可申請(本人申請が原則)
    外国人本人の要件は次の通りです。・18歳以上であること、・技能試験及び日本語試験に合格していること(技能実習2号を良好に修了した外国人は免除)、・特定技能1号で通算5年以上在留していないこと、・保証金を徴収されていないこと又は違約金を定める契約を締結していないこと、・自らが負担する費用がある場合、内容を十分に理解していること、など
  5. 地方出入国在留管理局が、在留資格変更許可(在留カードの交付)
  6. 遅滞なく実施すること→受入れ機関等が実施する生活オリエンテーションの受講、住居地の市区町村等で住民登録、給与口座の開設、住宅の確保等
  7. 受入れ機関での就労開始

 

いずれの場合も、日本語と技能試験に合格していることが条件となります。但し、大学を卒業していることという要件はありません。

特定技能1号 支援計画

特定技能1号の在留資格をもつ外国人に対する支援計画についてご説明します。

 

ポイントは、受入れ機関は特定技能1号の外国人に対して、「特定技能1号」の活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援の実施に関する計画を作成し、その計画に基づき支援を行わなければならないとされていることです。尚、特定技能2号については、支援義務はありません。

 

具体的には次のとおりです。

 

支援計画の作成

 

  • 受入れ機関は、特定技能1号に関する在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請等の在留諸申請に当たり、支援計画を作成し、当該申請の際にその他申請書類と併せて提出しなければなりません。

 

支援計画の主な記載事項

 

  • 職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援として必要であるとして省令で定められた10項目の実施内容・方法等
  • 支援責任者及び支援担当者の氏名及び役職等
  • 支援の実施を契約により他の者に委託する場合の当該他の者の氏名及び住所等
  • 登録支援機関(登録支援機関に委託する場合のみ)

 

10項目の実施内容・方法は次の通りです。

 

  1. 事前ガイダンス  ・雇用契約締結後、在留資格認定証明書交付申請前又は在留資格変更許可申請前に、労働条件・活動内容・入国手続き・保証金徴収の有無等について、対面・テレビ電話等で説明
  2. 出入国する際の送迎  ・入国時に空港等と事業所又は住居への送迎 ・帰国時に空港の保安検査場までの送迎・同行
  3. 住居確保・生活に必要な契約支援  ・連帯保証人になる・社宅を提供する等 ・銀行口座等の開設・携帯電話やライフラインの契約等を案内・各手続きの補助
  4. 生活オリエンテーション  ・円滑に社会生活を営めるよう日本のルールやマナー、公共機関の利用方法や連絡先、災害時の対応等の説明
  5. 公的手続き等への同行  ・必要に応じ住居地・社会保障・税などの手続きの同行・書類作成の補助
  6. 日本語学習の機会の提供  ・日本語教室等の入学案内、日本語学習教材の情報提供等
  7. 相談・苦情への対応  ・職場や生活上の相談・苦情等について、外国人が十分に理解することができる言語での対応、内容に応じた必要な助言、指導等
  8. 日本人との交流促進  ・自治会等の地域住民との交流の場や、地域のお祭りなどの行事の案内や、参加の補助等
  9. 転職支援(人員整理等の場合)  ・受入れ側の都合により雇用契約を解除する場合の転職先を探す手伝いや、推薦状の作成等に加え、求職活動を行うための有給休暇付与や必要な行政手続きの情報の提供
  10. 定期的な面談・行政機関への通報  ・支援責任者等が外国人及び上司等と定期的(3か月に1回以上)に面談し、労働基準法違反等があれば通報

 

支援計画実施の登録支援機関への委託

 

  • 受入れ機関は、支援計画の全部又は一部の実施を他の者に委託することができる(支援委託契約を締結)
  • 受入れ機関が支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託する場合には、外国人を支援する体制があるものとみなされる
  • 登録支援機関は、委託を受けた支援業務の実施を更に委託することはできない(支援業務の履行を補助する範囲で通訳人などを活用することは可能)

 

このように、受入れ機関は、特定技能1号の外国人の支援計画を作成しなければいけません。大企業であればそれも可能でしょうが、中小企業の場合は自社で行うことはなかなか難しいと思われますので、登録支援機関に委託することも考えてみると良いでしょう。

受入れ機関がすべき届出

特定技能1号の在留許可を持つ外国人を受け入れる機関が守るべき届出についてご説明します。

 

ポイントとしては、受入れ機関は、出入国在留管理庁長官に対して、各種届出を随時又は定期に行わなければならないことと、受入れ機関による届出の不履行や虚偽の届出については罰則の対象とされていることです。

 

随時の届出は次のようなものです。

 

  • 特定技能雇用契約の変更・終了、新たな契約の締結に関する届出
  • 支援計画の変更に関する届出
  • 登録支援機関との支援委託契約の締結、変更、終了に関する届出
  • 特定技能外国人の受入れ困難時の届出
  • 出入国又は労働関係法令に関する不正行為等を知ったときの届出

 

また、定期の届出は次のようなものです。

 

  • 特定技能外国人の受入れ状況に関する届出(例:特定技能外国人の受入れ総数、氏名等の情報、活動日数、場所、業務内容等)
  • 支援計画の実施状況に関する届出(例:相談内容及び対応結果等)※支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託した場合を除く)
  • 特定技能外国人の活動状況に関する届出(例:報酬の支払い状況、離職者数、行方不明者数、受入れに要した費用の額等)

 

尚、定期届出は、四半期ごとに翌四半期の初日から14日以内に届け出る必要があります。

 

  1. 第1四半期:1月1日から3月31日まで
  2. 第2四半期:4月1日から6月30日まで
  3. 第3四半期:7月1日から9月30日まで
  4. 第4四半期:10月1日から12月31日まで

 

繰り返しますが、受入れ機関に課せられた2種の届出は、違反の場合、指導や罰則の対象になります。

分野別の協議会

新しい在留資格である「特定技能」における分野別の協議会についてご説明します。

 

出入国在留管理庁は、ポイントとして次の二点を挙げています。

 

  1. 制度の適切な運用を図るため、特定産業分野ごとに分野所轄省庁協議会を設置する
  2. 協議会においては、構成員の連携の緊密化を図り、各地域の事業者が必要な特定技能外国人を受け入れられるよう、制度や情報の周知、法令遵守の啓発のほか、地域ごとの人手不足の状況を把握し、必要な対応等を行う

 

ここで重要なことは、特定技能外国人を受け入れる全ての受入れ機関は協議会の構成員になることが必要だという点です。但し、建設分野においては、受入れ機関は建設業者団体が共同で設置する法人に所属することが求められ、当該法人が協議会構成員となります。

 

14の特定産業分野ごとの分野所轄省庁は次の通りです。

 

  • 介護、ビルクリーニング → 厚生労働省
  • 素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業 → 経済産業省
  • 建設、造船・船用工業、自動車整備、航空、宿泊 → 国土交通省
  • 農業、漁業、飲食料品製造業、外食業 → 農林水産省

 

また、協議会の活動内容としては次のようなものとなります。

 

  • 特定技能外国人の受入れに係る制度の趣旨や優良事例の周知
  • 特定技能所属機関等に対する法令遵守の啓発
  • 就業構造の変化や経済情勢の変化に関する情報の把握・分析
  • 地域別の人手不足の状況の把握・分析
  • 人手不足状況、受入れ状況等を踏まえた大都市圏等への集中回避に係る対応策の検討・調整(特定地域への過度な集中が認められる場合の構成員に対する必要な要請等を含む)
  • 受入れの円滑かつ適正な実施のために必要なその他の情報・課題等の共有・協議等 

特定技能 介護分野&ビルクリーニング分野

まず、新しい在留資格である「特定技能」のうち、「介護分野」についてご説明します。

介護分野

 

介護分野の所管省庁は厚生労働省で、この分野での外国人受入れ見込み数を60,000人としています。(5年間の最大値)

 

介護分野の外国人が従事する業務は、身体介護等の業務(利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつ、整容・衣服着脱、移動の介助等)の他、これに付随する支援業務(レクリエーションの実施、機能訓練の補助等)となります。但し、訪問系サービスは対象外となります。

 

また、特定技能外国人が有すべき技能水準については、介護技能評価試験と日本語能力判定テスト、それに加えて介護日本語評価試験に合格することが必要です。

 

次に、介護分野の特定技能1号の外国人を受け入れる事業所が注意すべき事項としては次のようなことが挙げられます。

 

  • 1号特定技能外国人の人数枠は、事業所単位で、日本人等の常勤の介護職員の総数を超えないこととされています。日本人「等」については、次に掲げる外国人材が含まれます。@介護福祉国家試験に合格したEPA介護福祉士、A在留資格「介護」により在留する者、B永住者や日本人の配偶者など、身分・地位に基づく在留資格により在留する者 

 

EPAとは、日本と相手国の経済活動の連携強化を図るもので、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国から外国人を受け入れています。

 

  • このため、日本人「等」の中には、技能実習生、EPA介護福祉士候補者、留学生は含まれません。
  • 初めて介護分野の1号特定技能外国人を受け入れた場合には、当該1号特定技能外国人の入国後4か月以内に、厚生労働大臣が設置する介護分野における特定技能外国人の受入れに関する協議会に加入し、加入後は、協議会に対し、必要な協力を行うなどしなければいけません。
  • 入国後4か月以内に協議会に加入しない場合には、1号特定技能外国人の受入れができないこととなります。
  • また、協議会に対し、必要な協力を行わないなどした場合には、基準を満たさないことから、特定技能外国人の受入れができないこととなります。

 

尚、外国人介護職員の雇用に関して、特定技能の他にどのような方法があるのか、比較検討ができるガイドブックが出ております。

 

次に、新しい在留資格である特定技能のうち、「ビルクリーニング分野」についてご説明します。

ビルクリーニング分野

 

この産業分野の所管省庁は厚生労働省であり、ビルクリーニングにおける受入れ見込み数は37,000人となっています。(5年間の最大値)

 

特定技能外国人が従事する業務は、建築物内部の清掃となります。同じ業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務に付随的に従事することは差し支えありませんが、専ら関連業務にだけ従事することは認められておりません。

 

特定技能外国人が有すべき技能水準としては、「ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験」及び「日本語能力判定テスト」に合格することが必要です。但し、技能実習2号を良好に修了した者については、これらの試が免除されます。尚、ビルクリーニング分野においては、特定技能2号での受入れを行うことはできません。

 

受入れ機関については、初めてビルクリーニング分野の1号特定技能外国人を受け入れた場合は、その1号特定技能外国人の入国後4か月以内に、厚生労働大臣が設置するビルクリーニング分野における特定技能外国人の受入れに関する協議会に加入し、加入後は、協議会に対し、必要な協力を行うなどしなければなりません。

 

入国後4か月以内に協議会に加入していない場合は、1号特定技能外国人の受入れができないこととなります。

 

また、協議会に対し、必要な協力を行わない場合には、基準に適合しないことから、特定技能外国人の受入れができないこととなります。

特定技能 宿泊業分野&外食業分野

まず、新たな在留資格である特定技能のうち、「宿泊分野」についてご説明します。

宿泊分野

宿泊分野を所管する省庁は厚生労働省であり、この分野において、特定技能外国人の受入れ見込み数は、22,000人です。(5年間の最大値)

 

特定技能外国人が従事する業務は、この分野においては、宿泊施設におけるフロント、企画・広報、接客及びレストランサービス等の宿泊サービスの提供に係る業務となります。職場の状況に応じて、例えば、許可された在留期間全体の中の一部の期間において係に配置されるなど、特定の業務のみに従事することも差し支えありません。

 

また、その業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務に付随的に従事することも差し支えありません。但し、専ら関連業務に従事することは認められません。

 

関連業務に当たり得るものとして、例えば、次のようなものが想定されます。

 

  • 旅館、ホテルの施設内の土産物等売店における販売業務
  • 旅館、ホテルの施設内の備品の点検・交換業務

 

次に、特定技能外国人が有すべき技能水準については、「宿泊業技能測定試験」及び「日本語能力判定テスト等」に合格する必要があります。尚、宿泊分野においては、特定技能2号での受入れを行うことができません。

 

受入れ機関に対して特に課す条件としては次のようなものです。

 

  • 旅館・ホテル営業の許可を受けて旅館業を営んでおり、風俗営業関連の施設(ラブホテル等)に該当しないこと
  • 風俗営業関連の接待を行わせないこと
  • 初めて宿泊分野の特定技能外国人を受け入れる場合には、その特定技能外国人の入国後4か月以内に、国土交通省が設置する宿泊分野に係る特定技能外国人の受入れに関する協議会に加入し、加入後は協議会のほか、国土交通省が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うなどしなければなりません。
  • 入国後4か月以内に協議会に加入していない場合には、特定技能外国人の受入れができないこととなります。
  • また、協議会に対し、必要な協力を行わない場合には、基準に適合しないことから、特定技能外国人の受入れができないこととなります。
  • 受入れ機関が、1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託する場合には、その登録支援機関は、宿泊分野に係る特定技能外国人の受入れに関する協議会に加入し、加入後は協議会のほか、国土交通省が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うものでなければなりません。

 

次に、新たな在留資格である特定技能のうち、「外食業分野」についてご説明します。

外食業分野

外食業分野を所管する省庁は農林水産省であり、この分野において、特定技能外国人の受入れ見込み数は、53,000人です。(5年間の最大値)

 

まず、外食業分野の特定技能外国人を受け入れる事業者は、その外国人を「飲食店」又は「持ち帰り・配達飲食サービス業」に分類される事業所に就労させる必要があります。具体的には、食堂、レストラン、料理店、喫茶店、ファーストフード店、テイクアウト専門店(店内で調理した飲食料品を渡すもの)、宅配専門店(店内で調理した飲食料品を配達するもの)、仕出し料理店等です。

 

次に、特定技能外国人が従事する業務は、外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)ですが、職場の状況に応じて、例えば、許可された在留期間全体の一部の期間において調理担当に配置されるなど、特定の業務にのみ従事することもできます。

 

また、その業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務に付随的に従事することも差し支えありません。具体的には、原材料や消耗品等の調達・受入れ、調理品等の配達作業です。但し、専ら関連業務に従事することは認められません。

 

次に、特定技能外国人が有すべき技能水準については、外食業技能測定試験及び日本語試験の合格等が必要です。但し、「医療・福祉施設給食製造」の第2号技能実習を修了した者は、上記試験が免除されます。尚、外食業分野においては、特定技能2号での受入れを行うことはできません。

 

次に、特定技能外国人を雇用する事業者に対して特に課す条件としては、次のようなものです。

 

  • 「風俗営業法」に規定する接待飲食等営業を営む営業所において就労を行わせないこと。また、同法に規定する接待を行わせないこと。
  • 初めて外食業分野の特定技能外国人を受け入れた場合には、その特定技能外国人の入国後4か月以内に、食品産業特定技能協議会(協議会)に加入し、加入後は農林水産省及び協議会に対し、必要な協力を行うなどしなければなりません。
  • 入国後4か月以内に協議会に加入していない場合には、特定技能外国人の受入れができないこととなります。
  • また、協議会に対し、必要な協力を行わない場合には、基準に適合しないことから、特定技能外国人の受入れができないこととなります。
  • 事業者が1号特定技能外国人支援計画の実施を登録支援機関に委託する場合には、その登録支援機関は、協議会に加入し、加入後は農林水産省及び協議会に対し、必要な協力を行うものでなければなりません。

 

最後に、農林水産省は、この制度の運用に関する重要事項として次のような点を挙げています。

 

  • 大都市圏への過度な集中防止

 

  1. 「外食業技能測定試験」の国内における試験は、大都市圏以外の地方を含めた全国10か所程度で実施する
  2. 様々な取組が行われてもなお外国人を含む人手不足が顕著である地域が認められる場合、試験の開催場所・頻度等の調整に努め、関係機関・関係業界団体等とも連携する。

 

  • 治安上の問題の把握

 

  1. 治安上の問題となる得る事項を把握するために必要な措置を講じ、把握した事項を制度関係機関と共有する。
  2. 深刻な治安上の影響が生じる恐れがあると認める場合は、運用方針の変更を含め必要な措置を講じる。

特定技能 宿泊分野&建設分野

まず、新たな在留資格である特定技能のうち、「農業分野」についてご説明します。

農業分野

農業分野を所管する省庁は農林水産省であり、この分野において、特定技能外国人の受入れ見込み数は、36,500人です。(5年間の最大値)

 

特定技能外国人が従事する業務は、この分野においては、@耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)又は、A畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)であり、これらの業務に主として従事しなければならず、栽培管理又は飼養管理の業務が従事する業務に含まれていることが必要です。

 

また、その業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務に付随的に従事することは差し支えありません。例えば次のようなものです。

 

  • 農畜産物の製造・加工
  • 農畜産物の運搬
  • 農畜産物の販売の作業
  • 冬場の除雪作業等

 

特定技能外国人が従事する業務には特定技能所属機関が受託して行うものを含みます。また、農業者(農家・農業法人)に雇用される場合だけでなく、特定技能外国人が主として従事する業務を自ら行う、又は農業者から請け負って行う、農業者等を構成員とする団体(JA等)に雇用されて業務に従事することもできます。

 

農業分野については、日本人が従事する場合と同様に、労働時間、休憩及び休日に関する労働基準法の規定は適用除外となりますが、特定技能外国人が、健康で文化的な生活を営み、職場での能率を長期間にわたって維持していくため、特定技能外国人の意向も踏まえつつ、労働基準法に基づく基準も参考にしながら、過重な長時間労働とならないよう、適切に労働時間を管理するとともに、適切に休憩及び休日を設定しなければならないとされています。

 

次に、特定技能外国人が有すべき技能基準については、農業技能測定試験及び日本語能力試験の合格等が必要です。このうち農業技能測定試験の実施主体は一般社団法人全国農業会議所であり、試験は2019年秋以降に実施予定とされています。また、技能実習2号を修了した者は試験が免除されます。尚、農業分野においては、特定技能2号での受入れを行うことはできません。

 

特定技能基準省令では、農業分野における労働者派遣事業者の要件として、以下の1.〜4.のいずれかに該当し、かつ、法務大臣が農林水産大臣と協議の上で適当であると認められる者になります。

 

  1. 農業又は農業に関連する業務を行っている者であること ⇒ 農業に関連する業務を行っている者とは、例えば、農業協同組合、農業協同組合連合会、農業者が組織する事業協同組合等が想定されます。
  2. 地方公共団体又は1.に掲げる者が資本金の過半数を出資していること ⇒ 地方公共団体及び1.に掲げる者の両者が出資している場合には、その合計が資本金の過半数になっていれば差し支えありません。
  3. 地方公共団体の職員又は1.に掲げる者若しくはその役員若しくは職員が役員であることその他地方公共団体又は1.に掲げる者が業務執行に実質的に関与していると認められる者であること ⇒ 「業務執行に実質的に関与していると認められる」場合としては、例えば、その事業者の業務方法書等において「地方公共団体の職員又は1.に掲げる者若しくはその役員若しくは職員」が農業分野に関する業務の運営に指導や助言等を行うことにより関与することとされていること等が想定されます。
  4. 国家戦略特別区域法に規定する特定機関であること ⇒ 特定機関は、「国家戦略特別区域農業支援外国人受入事業における特定機関等に関する指針」による確認を受けており、かつ、適正に外国人農業支援人材を派遣先農業経営体に派遣したことがある特定機関であることが必要です。

 

次に、受入れ機関等の条件としては、@過去5年以内に労働者(技能実習生を含む)を少なくとも6か月以上継続して雇用した経験があること、A「農業特定技能協議会」に参加し、必要な協力を行うこと、とされています。

 

 

次に、新たな在留資格である特定技能のうち、「建設分野」についてご説明します。

建設分野

建設分野を所管する省庁は国土交通省であり、この分野において、特定技能外国人の受入れ見込み数は、40,000人です。(5年間の最大値)

 

特定技能外国人が従事する業務は、この分野において、1号特定技特定技能外国人能外国人は相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に、また、2号特定技能外国人はその分野に属する熟練した技能を要する業務に従事することが求められます。尚、特定技能2号になると、在留期間の更新制限がなくなり、家族の帯同も認められます。

 

そして、1号2号ともに、「別表6‐1(建設)」に記載された業務に主として従事しなければなりません。また、その業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務に付随的に従事することは差し支えありません。

 

具体的に主として従事することが想定される業務及び関連業務は「別表6‐2〜6‐12」の通りですが、専ら関連業務に従事することは認められません。

 

次に、特定技能外国人が有すべき技能水準については、この分野に従事する場合、「別表6‐1(建設)」に定める技能試験及び日本語試験の合格等が必要です。また、1号特定技能外国人が従事する業務区分に応じ、「別表6‐1(建設)に定める技能実習2号を良好に修了した者については上記の試験が免除されます。

 

2号特定技能外国人については、試験合格のほか、「建設現場において複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者(班長)としての実務経験」も必要です。

 

次に、建設分野の特定技能所属機関(受入れ機関)についてです。特定技能所属機関は、建設特定技能受入計画の国土交通大臣による認定を受け、その計画を適正に実施していることについて、国土交通省又は適正就労監理機関による確認等を受けることが求められます。

 

また、建設分野における特定技能外国人の適正かつ円滑な受入れを実現するための取組を実施する営利を目的としない法人は、要件を満たせば、国土交通大臣から特定技能外国人受入事業実施法人の登録を受けることができます。登録法人の名称、所在地、登録年月日等の情報が、国土交通省のホームページにて公表されました。「一般社団法人建設技能人材機構」です。そして、建設分野で1号特定技能外国人を受け入れる特定技能所属機関は全て、この登録を受けた法人に直接または間接的に所属し(加入義務あり)、その行動規範を遵守することが求められます。

 

建設分野における特定技能外国人の受入れに係る規定類及びQ&Aについては、国土交通省ののホームページをご参照ください。

特定技能 飲食料品製造業分野&航空分野

まず、新たな在留資格である特定技能のうち、「飲食料品製造業分野」についてご説明します。

飲食料品製造分野

飲食料品製造業分野を所管する省庁は農林水産省であり、この分野において、特定技能外国人の受入れ見込み数は、34,000人です。(5年間の最大値)

 

特定技能外国人が従事する業務については、この分野において、「別表」に記載された業務に主として従事することになります。また、その業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務に付随的に従事することは差し支えありません。例えば、次のようなものです。但し、専ら関連業務に従事することは認められません。

 

  • 原料の調達・受け入れ
  • 製品の納品
  • 清掃
  • 事業所の管理の作業

 

飲食料品製造業分野の1号特定技能外国人を雇用できる事業者は、主たる業務として、次のいずれかに掲げるものを行っていることが求められます。

 

  1. 畜産食料品、水産食料品の製造・加工
  2. 野菜缶詰、果実缶詰、農産保存食料品の製造・加工
  3. 調味料、糖類、動植物油脂の製造
  4. 精穀、製粉、でんぷん、ふくらし粉、イースト、こうじ、麦芽の製造
  5. パン、菓子、めん類、豆腐、油揚げ、冷凍調理食品、そう菜の製造
  6. 清涼飲料、茶、コーヒー、氷の製造
  7. 菓子類、あめ類の製造小売
  8. パン類の製造小売
  9. 豆腐、こんにゃく、納豆、漬物、かまぼこ、ちくわなどの加工食品の小売

 

次に、特定技能外国人が有すべき技能水準について、技能試験及び日本語試験の合格等が必要です。また、技能実習2号を良好に修了した者については上記の試験等が免除されます。尚、飲食料品製造業分野においては、特定技能2号での受入れを行うことはできません。

 

次に、特定技能所属機関については、農林水産省が組織する協議会に参加しなければなりません。

 

特定技能所属機関が、初めて飲食料品製造業分野の特定技能外国人を受け入れた場合には、その特定技能外国人の入国後4か月以内に、協議会に加入し、加入後は農林水産省及び協議会に対し、必要な協力を行うなどしなければなりません。

 

入国後4か月以内に協議会に加入していない場合には、特定技能外国人の受入れを行うことはできません。また、協議会に対し、必要な協力を行わない場合には、基準に適合しないことから、特定技能外国人の受入れができないこととなります。

 

特定技能所属機関が1号特定技能外国人支援計画の実施を登録支援機関に委託する場合には、その登録支援機関は、協議会に対し、加入後は農林水産省及び協議会に対し、必要な協力を行うものでなければなりません。

 

次に、新たな在留資格である特定技能のうち、「航空分野」についてご説明します。

航空分野

航空分野を所管する省庁は国土交通省であり、この分野において、特定技能外国人の受入れ見込み数は、2,200人です。(5年間の最大値)

 

特定技能外国人が従事する業務については、「別表」に記載された業務に主として従事しなければなりません。この別表に記載された業務の考え方は以下の通りです。

 

  • 空港グランドハンドリングの業務区分(空港グランドハンドリング(地上走行支援業務、手荷物、貨物取扱業務))については、航空機地上走行支援業務、手荷物・貨物取扱業務、手荷物・貨物の航空機搭降載業務、航空機内外の清掃整備業務(以下「空港グランドハンドリング」という)が対象となります。
  • 航空機整備の業務区分(航空機整備(機体、装備品等の整備業務等))については、運航整備、機体整備、装備品・原動機整備等において行う航空機の機体、装備品又は部品の整備業務全般(以下「航空機整備等」という)が対象となります。
  • 尚、業務の遂行に際しては、航空法等の関係法令や安全管理規程、業務規程、運航・整備規程、社内規定等の規程類を遵守することが必要です。

 

また、その業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務に付随的に従事することは差し支えありません。関連業務に当たりうるものとして、例えば、次のものが想定されます。但し、専ら関連業務に従事することは認められません。

 

  • 事務作業
  • 作業場所の整理整頓や清掃
  • 積雪時における作業場所の除雪

 

特定技能外国人が有すべき技能水準については、1号特定技能外国人として航空分野の業務に従事する場合には、技能試験及び日本語試験の合格等が必要です。また、1号特定技能外国人が従事する業務区分に応じ、技能実習2号を良好に修了した者については上記の試験等が免除されます。尚、航空分野においては、特定技能2号での受入れを行うことはできません。

 

空港グランドハンドリングの1号特定技能外国人を受け入れる特定技能所属機関は、空港管理規則の承認を受けたもの又は条例その他の規程に基づき空港管理者により営業を行うことを認められた者であって、空港グランドハンドリングを営む者でなければなりません。

 

また、航空機整備の特定技能外国人を受け入れる特定技能所属機関は、航空法の規定により国土交通大臣による認定を受けた者又はその者から業務の委託を受けた者でなければなりません。

 

初めて航空分野の1号特定外国人を受け入れた場合には、その1号特定技能外国人の入国後4か月以内に、国土交通省が設置する航空分野に係る特定技能外国人の受入れに関する協議会に加入し、加入後は協議会に対し、また国土交通省が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うなどしなければなりません。

 

入国後4か月以内に協議会に加入していない場合には、特定技能外国人の受入れができないこととなります。

 

また、協議会に対し、必要な協力を行わない場合には、基準に適合しないことから、特定技能外国人の受入れができないこととなります。

 

特定技能所属機関が1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を登録支援に航空分野に委託する場合には、その登録支援機関は、航空分野に係る特定技能外国人の受入れに関する協議会に加入し、加入後は協議会に対し、また、国土交通省が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うものでなければなりません。

 

1号特定技能外国人の受入れを検討している場合、特定技能雇用契約の締結前であっても、協議会事務局(国土交通省航空局)に協議会への加入等について相談することができます。